2022-01-01から1年間の記事一覧
今年最後の記事は最近よく聴く楽曲の話です。 www.youtube.com Da-iCEのAnswersという楽曲です。最近お気に入りでよく聞いていたのですが、歌詞の中に「円周率」という言葉が聞こえることに気がつきました。おっ!と思って歌詞を調べてみると数学の用語が散…
この記事では最も簡単なシンギュラーモジュリ\(x_2\)を求めてみます。この値は前回の記事で求めた式 $$\frac{2}{\pi}=\sum_{k=0}^{\infty}(-1)^k\,A_k\,(4\,k+1), ただしA_k=\frac{\left( \frac12\right)_k^3}{k!^3}$$ でも使いました。 シンギュラーモジュ…
P3C 今回は次の公式を証明します。 $$\frac{2}{\pi}=\sum_{k=0}^{\infty}(-1)^k\,A_k\,(4\,k+1), ただしA_k=\frac{\left( \frac12\right)_k^3}{k!^3}$$ Nayandeepさんの論文 "EISENSTEIN SERIES AND RAMANUJAN-TYPE SERIES FOR 1/π" では多くの円周率公式に…
以下の記事でNayandeepさんによるラマヌジャンの円周率公式の証明の構造を示し、フレームワークと呼んでみました。 maxima.hatenablog.jp このフレームワークの中でポイントとなる部分を変更すると異なる円周率公式を得ることができます。そのポイントの1つ…
ラマヌジャン型の円周率公式の証明を理解する上で、\(q\)級数、超幾何関数、楕円積分、テータ関数、アイゼンシュタイン級数などをある程度理解しておくことが必要です。このためにとても役に立ったのが、このシリーズでも何度も紹介しているBerndtさんの次の…
このシリーズでも折に触れて紹介してきたNayandeep BaruahさんとBerndtさんの論文 "EISENSTEIN SERIES AND RAMANUJAN-TYPE SERIES FOR 1/π" には多くの\(\frac{1}{\pi}\) 級数公式とその証明がフレームワークに基づいて示されています。今回はその中から次の…
ラマヌジャンの円周率公式のひとつである $$\frac{16}{\pi}=\sum_{k=0}^{\infty }{\frac{\left(42\,k+5\right)\,A_{k}}{2^{6\,k}}}\, ただし A_k=\frac{\left(\frac12\right)_k^3}{k!^3}$$ の証明を調べてMaximaで式変形を追いながら理解することができまし…
今回は今までに得られたアイゼンシュタイン級数の公式を元にして、ラマヌジャンの円周率公式のひとつを証明します。今回証明するのは次の式です。 $$\frac{16}{\pi}=5+ \frac{47}{64}\,\left(\frac12\right)^3 + \frac{89}{64^2}\,\left(\frac{1\cdot 3}{2\c…
今回は今までに求めてきた2つの\(P(q)\)に関する数式を、\(n\)を適当な自然数として\(q=e^{-2\,\pi\,\sqrt{n}}\)の場合に特化した数式として計算してみます。とは言ってもおおむね代入して整理するだけです。 その系として次の式がほぼ自明に得られることも…
庭で見つけた足長蜂の巣。業者の方に退治してもらいました。 今回は次の公式を証明します。 \(P(q)=1-24\,\sum_{n=1}^{\infty}\frac{n\,q^n}{1-q^n}, a\,b=\pi^2\)として、 $$ 6-a\,P\left(e^{-2\,a}\right)=b\,P\left(e^{-2\,b}\right)$$ 参考文献としては…
ひとつ前の記事 maxima.hatenablog.jp を書き終えてからひとつ心に引っ掛かっていることがありました。普通は保型性を関数が\( z+1 \)や\(1/z\)で不変という形で表します。しかしラマヌジャンは\(a, b \gt 1, a\,b=\pi^2\)ならば\(h(a)=h(b)\)のような形で表…
今回はラマヌジャンのテータ関数の変換公式と呼ばれる次の式を証明します。次回以降でこの式からアイゼンシュタイン級数の変換公式を導きます。 $$ b^{\frac{1}{4}}\,e^ {- \frac{b}{12} }\,f\left(-e^{- 2\,b\,n }\right)=a^{\frac{1}{4}}\,e^ {- \frac{a}{…
前回、アイゼンシュタインの変換公式を証明しました。この公式は数理科学2020年8月号の平田典子さんの記事においても、そのほかのラマヌジャンの円周率公式の証明の論文を見ていても基本的な式となっています。 今回はアイゼンシュタインの変換公式の応用と…
前回の記事 maxima.hatenablog.jp ではラマヌジャンの円周率公式の証明を理解したい、という動機を説明し、そこで使われるアイゼンシュタイン級数の変換公式について説明しました。 この記事ではその証明をMaximaで追っていきます。 window.addEventListener…
ラマヌジャンの円周率公式は少なくとも17種類がラマヌジャンのノートブックに記載があり、さらにその後の研究で大量に類似の公式が見つかっています。それらの証明はいろいろな手法が使われており難易度も様々なようですが、数学愛好家としてはその1つくら…
このブログのmaximaの記事を書くにあたって多用してきたmaxima-jupyterですが、最近新たにインストールしようとするとエラーが発生するようになってしまいました。例えば以前に掲載した次の記事の手順でもエラーが発生します。 maxima.hatenablog.jp (%i2) j…
以前の記事で紹介した、macOSで動作する仮想マシン環境ソフトUTMをM1 iMacで本格的に使おうと思い、その前にいくつか不満点を解消しました。 maxima.hatenablog.jp 以下は不満だった点のリストです。これら全て一応解消できました。 ホストに物理接続してい…
ラマヌジャンの\(\frac{1}{\pi}\)公式に関する論文や記事を読んでいるとしばしば以下の公式に出会います。 $$_{2}F_1\left(\frac12,\frac12;1;x\right)^2= {}_3F_2\left(\frac12,\frac12,\frac12;1,1;4\,x\,(1-x)\right)$$ 大抵クローゼンの公式の特殊な場合…
上記2つの記事で超幾何関数に関するクローゼンの公式を証明しました。それはこんな式でした。 $$_{2}F_1\left(a,b;a+b+\frac12;x\right)^2= {}_3F_2\left(2\,a,2\,b,a+b;2\,a+2\,b,a+b+\frac12;x\right)$$ しかし、ラマヌジャンの\(\frac{1}{\pi}\)に関する…
ではガウス超幾何関数と一般超幾何関数の間の公式 $$_{2}F_1\left(a,b;a+b+\frac12;x\right)^2= {}_3F_2\left(2\,a,2\,b,a+b;2\,a+2\,b,a+b+\frac12;x\right)$$ の証明の主要な部分を行いました。方針としては左辺も右辺も同じ3階の微分方程式を満たすこと…
トーマスクローゼンは1828年に雑誌クレレに発表した論文で、ガウス超幾何関数\({}_2F_1(a,b;c;x)\)の2乗が一般超幾何関数\({}_3F_2(a,b,c;d,e;x)\)と等しくなるための条件を求めました。その結果次の式が成り立つことを証明しました。 $$_{2}F_1\left(a,b;a…
2022年3月15日、ドイツの連邦情報セキュリティ庁(BSI)がカスペルスキーのウィルス対策ソフトを脅威と見なして、利用組織に対して代替品への置き換えを推奨する文書を公表しました。下記がそのページへのリンクです*1。 www.bsi.bund.de ロシアの企業がドイツ…
window.addEventListener('message', function(e) { var iframe = document.getElementById("tako"); var eventName = e.data[0]; var data = e.data[1]; switch(eventName) { case 'setHeight': console.log(data); iframe.style.height = data + "px"; bre…
超幾何関数は特定の微分方程式(超幾何微分方程式と呼ばれています)を満たすことが知られています。今回はパラメータを3つ持つガウスの超幾何関数\(_{2}F_{1}(a,b;c;x)=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(a)_n\,(b)_n}{(c)_n}\,\frac{z^n}{n!}\)が超幾何微分方程…
CISSP CBKを購入して、CISSP受験の際にした勉強を復習しています。当時はOfficial Study Guideという本やYoutube videoなども使って勉強していました。その頃に疑問に思ったこと、今回購入したCBKを読んで初めて知ったことなどを紹介していきます。 The Offi…
CISSPを勉強するとき、いくつか出ているスタディガイドを買って勉強するのが普通だと思います。一方、スタディガイドではなくCISSPの知識の範囲を資格団体である\((ISC)^2\)がまとめた資料も出版されています。この知識の範囲のことをCommon Body of Knowled…
UTMなどを使えばmacOSを仮想環境のゲストOSとして使用することができます。前の記事で紹介したように仮想環境の作成手順の中で非常にスムーズにmacOSのダウンロードが行われて、インストールまで一連の手順になっています。 ところでこのような使い方をする…
目次 M1 Mac向けの仮想環境 UTMとは? UTMでのmacOS Monterey仮想化の手順 現状でのUTMの不具合 M1 Mac向けの仮想環境 M1チップ(通称Apple Silicon)を使用したMacでも開発に必要な環境がかなり整ってきました。私のiMacでもhomebrewパッケージマネージャに…
今回は一体「超幾何関数とテータ関数の恒等式」シリーズは何だったのかという説明です。昨年11月ごろに超幾何関数の勉強の記事を数本書いた後、楕円積分と超幾何関数の関係の記事を書きました。その後、流れでこのシリーズを始めました。本来動機や背景を最…
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