Maxima で綴る数学の旅

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-数学- アイゼンシュタイン級数の変換公式(その5) 補足

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を書き終えてからひとつ心に引っ掛かっていることがありました。普通は保型性を関数が\( z+1 \)や\(1/z\)で不変という形で表します。しかしラマヌジャンは\(a, b \gt 1, a\,b=\pi^2\)ならば\(h(a)=h(b)\)のような形で表している、という話をどこかで読んだという記憶が蘇ってきたのです。

 

多分黒川先生の本だろうと思い、家にある黒川先生の本を全て確認してみたところありました!

この本の第9章「保型性の展開」のp128にありました。ここではラマヌジャンデルタ関数\(\Delta(z)\)を扱っています。ラマヌジャンデルタ関数デデキントのイータ関数を24乗したものですから、保型性を総積で考えると両者に大きな違いはありません。

 

そしてこんな記載がありました。

ラマヌジャンが保型性を扱うときは、例えば\(\Delta(z)\)の場合なら、\(\alpha \gt 0\)に対して、\(F(\alpha)=\alpha^6\,\Delta\left(i\,\frac{\alpha}{\pi}\right)=\alpha^6\,e^{-2\,\alpha}\prod_{n=1}^{\infty}(1-e^{-2\,n\,\alpha})^{24}=\dots \)を考え「\(\alpha\,\beta=\pi^2\)ならば\(F(\alpha)=F(\beta)\)」というとても対称性の高い形で書くのが特徴です。

上記式の24乗根を取れば前回記事のイータ関数の対称性の式と同じになります。また上記の式の中に\( i\,\frac{\alpha}{\pi} \)という式(前回\(z\)に代入した式ですね)をみることが出来ます。

 

以前読んだ本と今勉強していることがちゃんと繋がるのも嬉しいことです。特に上記の黒川さんの本を読んだとき、p128の記載は意味が分からなかったのですから、今ははっきりと何が書いてあるのか分かるのが嬉しいです。