Maxima で綴る数学の旅

紙と鉛筆の代わりに、数式処理システムMaxima / Macsyma を使って、数学を楽しみましょう

数学

-数学-オイラーマクローリン総和公式パッケージの応用:オイラーマスケローニ定数

せっかく作ったオイラーマクローリン総和公式パッケージを使って、具体的な応用を一つ。同じオイラーが考えたオイラーマスケローニ定数を数値的に求めてみます。(Maximaには%gammaという定数として実装されていますから、テスト的な意味合いしかありません…

-数学- オイラー・マクローリン総和公式パッケージ

Maxima-asdfの面白いところは、じぶんで何かMaximaのプログラムを作ったら、簡単にGithubで公開して、世の中に貢献できることです。 と言うわけで一つ作ったのが、オイラー・マクローリン総和パッケージです。 GitHub - YasuakiHonda/euler-maclaurin-sum: S…

-数学- オイラー探検 第12峰 五角数定理(と約数和の漸化式)-証明-

前回の記事: では五角数定理の係数と約数和関数の漸化式の間の不思議な関係について、現象論的に紹介しました。これは黒川先生の本(上記記事で紹介)の最後の方に載っているお話です。 (%i1) :lisp (progn (ql:quickload :drakma)(ql:quickload :maxima-as…

-数学- オイラー探検 第12峰 五角数定理(と約数和の漸化式)

この本、Maximaで試しやすい話題が多く、とても気に入っています。 オイラー探検-無限大の滝と12連峰 (シュプリンガー数学リーディングス) 作者:黒川 信重 発売日: 2007/10/03 メディア: 単行本 久しぶりに読み返してみて、オイラーの五角数定理の係数と約数…

-数学- ゴスパーさんとMaxima

100ft maxima.hatenablog.jp 上記の記事で、円周率\(\pi\)の多桁計算の世界記録について触れました。そこで登場したBill Gosper、数学者兼ハッカーとして紹介されていました。この人の名前、数式処理に興味のある方ならきっと知っている、あの「ゴスパーのア…

-数学- ラマヌジャンと1/πについて

コロナ対策の一環で3月初旬から在宅勤務をしています。今は世の中に貢献できることが、「家にいて病気にならないこと」、だけなので、それを実践しています。医療関係の方々のみならず、社会インフラを動かすために出勤される皆様には敬意を表します。 平日…

-数学- p進数入門 ヴィットの公式の証明(2) 冪乗和の公式への補題の適用

ヴィットの公式とは、極限をp進収束で考えたときに、 $$\notag \lim_{N\rightarrow \infty }{\frac{\sum_{k=1}^{p^{N}}{k^{m}}}{p^{N}}}=B_{m} $$ でした。そして前回、ちょっとした補題を証明しました。それがこちらです。 $$ \notag \lim_{N\rightarrow \i…

-数学- p進数入門 ヴィットの公式の証明(1) 補題とその証明

ヴィットの公式、折角なので証明したいと思います。 参照させて頂いている青木先生の著書 p進ゼータ関数 久保田-レオポルドから岩澤理論へ (シリーズ「ゼータの現在」) 作者:青木 美穂 出版社/メーカー: 日本評論社 発売日: 2019/02/22 メディア: 単行本 に…

-数学- p進数入門 ベルヌーイ数とヴィットの公式

実は、このp進数に関する一連のシリーズの目標は、ヴィットの公式を示すことに置いていました。ヴィットの公式とは以下の式です。ただし極限はp進距離(差のp進絶対値)で考えます。左辺\(B_k\)はk番目のベルヌーイ数です。 $$ \notag B_{k}=\lim_{N\rightarro…

-数学- p進数入門 非アルキメデス的絶対値

p進数の絶対値や距離が「非アルキメデス的」とよく言われます。これって何のことなのでしょうか。 非アルキメデス的絶対値の定義や性質は、 p進ゼータ関数 久保田-レオポルドから岩澤理論へ (シリーズ「ゼータの現在」) 作者:青木 美穂 出版社/メーカー: 日…

-数学- p進数入門 積公式

0でない任意の整数(実際には有理数でも成り立つ)xについて、xの絶対値とxの全てのp進絶対値(pはすべての素数にわたる)を掛け合わすと1になる、という美しい式が成り立ちます。 $$ \left| x\right| \,\prod_{p}\left| x \right|_{p}=1$$ この式の左辺を特定…

-数学- p進数入門 p進距離と級数の収束の続き

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。 前回の記事で、等比級数の無限和の公式が、比が素数の場合にもp進距離に基づく収束で成り立つことが数値計算で実感できました。では証明はどのようにすれば良いのでしょうか。 証明したい…

-数学- p進数入門 p進距離と級数の収束

絶対値が定義できると、差の絶対値として距離を定義できます。その事情はp進の世界でも同じです。2つの有理数の差がpでよく割り切れれば、つまり差のp進絶対値が小さければ、この2つの数を「近い」とみなします。 (%i1) texput(nounify(padic_norm), lambda…

-数学- p進数入門 有理数のp進絶対値の定義と計算, padicsパッケージ

p進数、p進附値、p進絶対値、p進L関数、、、など数論の世界には実数とは違ったp進の世界があり、その数の理論を使って数学の様々な定理が証明されている、と書物には書いてあります。 そうは言っても、Maximaにはp進数を扱えるようなパッケージはないし、普…

-数学- sin(n*%pi/11)^2を解に持つ5次方程式を解く

Saito munetakaさんから頂いたコメントの中である5次方程式を解いてみてほしいとのご依頼がありました。早速やってみたところサクッと解けたので記事してみます。ただし、ここで求めた解が\( \left(\sin{\frac{n\,\pi}{11}}\right)^{2} \)に一致することを…

-数学- GaloisGroupSolverをGithubに公開しました

3連休の間に1日かけてGithubにレポジトリを作り、関連するファイルをアップロードして公開しました。まず、パッケージのダウンロード方法ですが、ここからダウンロードできます。 ちなみにパッケージの名前としてSolveSolvableで行こうかと思ったのですが、…

-数学- ガロア群を使って多項式の根を求める際の注意事項

ガロア群を使って多項式の根を求める計算をまとめると、与えられた多項式のガロア群が可解群の場合、ガロア群の縮小に対応して係数体を冪根拡大させることが出来ます。その際にVの最小多項式を拡大体で因数分解することできます。単位群まで縮小させた場合、…

-数学- 5次方程式を高速に解く。6次方程式も解けた!

2引数のfactor()関数を使って各解を原子元Vで表す計算を行うgal_sol_V4()を組み込んだパッケージを作成しました。こちらからダウンロードできます。 このパッケージを読み込んで、5次方程式を解くと、6.38秒で 解くことができました。 ちなみに、冪根では…

-数学- 可解な方程式を冪根で解く -解ける5次多項式の根も高速に求められる!!-

可解な多項式の根を求めるプログラムを提示してきましたが、このプログラムでの5次方程式の解の計算の計算時間的なボトルネックは、原子元Vで多項式の根を表す部分にありました。 ガロアが考えた方法をほぼそのまま実装した場合、5次方程式の場合で、数時間…

-数学- 可解な方程式を冪根で解く -まとめとリリース-

多項式のガロア群を、多項式を解くことなく求めたい、ということに端を発して、最終的には、次数には関係なく可解な多項式を解くプログラムを完成するところまで、辿り着くことができました(実際には5次方程式までしか解けていませんが)。 このプログラムも…

-数学- 可解な方程式を冪根で解く -可解な5次多項式の根も冪根で計算出来た-

元々は前回の記事: の続きを書くつもりだったのですが、少しだけ予定を変更して、SolveSolvable()関数での5次多項式のサポート状況を書きます。例題としては\(x^5-5\,x+12\)を使います。 前回の記事を書いてから、作ったプログラムに色々と不備(後述)が見つ…

-数学- 可解な方程式を冪根で解く-5次方程式に向けて-

5次方程式をこのアルゴリズムで解く試みを始めています。例題としては \(x^5-5\,x+12\) を取り上げます。この方程式は文献4: 文献 4 大迎「可解な5次方程式について」学位論文、兵庫教育大学大学院 のp74, 4.3 可解な5次方程式の解法例1の例2として取り…

-数学- 可解な方程式を冪根で解く -4次以下の多項式の根を求める汎用プログラムのリリース-

2次以上4次以下の1変数多項式の根を求める汎用プログラムをリリースします。このプログラムは4つのファイルから構成されています。 SolveSolvable2.macこのファイルを読み込むと、他の3つのファイルも読み込みます。そしてプログラムのエントリーポイントと…

-数学- 可解な方程式を冪根で解く -4次までの多項式用の汎用プログラムの実行例-

ようやく、かなりマシなバージョンを作ることができたので、一度リリースすることにしました。今回はどんな感じで実行できるのか、お見せします。なお、今回リリースするプログラムは4次までの多項式の根を方程式のガロア理論に従って計算します。 ファイル…

-数学- 可解な方程式を冪根で解く(8) 解を求める

不思議なノート2 これまでの計算で4次多項式\( x^4+2\,x^3+3\,x^2+4\,x+5 \)の根を求めるための全ての準備が終わりました。4つの解はVの多項式solV[1](V)〜solV[4](V)としては求まっていました。そして前回の記事で\(V\)を冪根と1の冪乗根による値を得たの…

-数学- 可解な方程式を冪根で解く(7) 群の縮小と体の拡大 第3、4ステップ〜そして最小分解体

不思議なノート 今回、第3ステップと第4ステップを実行し、Vの最小多項式の最小分解体まで拡大します。体の拡大とはリストCに冪根(と1の冪根)を付け加えることでした。この結果、Vの最小多項式を1次式に分解することができるのに必要な冪根が全て計算…

-数学- 可解な方程式を冪根で解く(6) 群の縮小と体の拡大 第2ステップ

例題の多項式\( x^4+2\,x^3+3\,x^2+4\,x+5 \)の組成列は、 \(NSGS=\left[ Group\left \{1 , 2 , 3 , 4 , 5 , 6 , 7 , 8 , 9 , 10 , 11 , 12 , 13 , 14 , 15 , 16 , 17 , 18 , 19 , 20 , 21 , 22 , 23 , 24 \right \} , Group\left \{1 , 4 , 5 , 8 , 9 , 12 …

-数学- 可解な方程式を冪根で解く(5) 群の縮小、体の拡大、拡大体での原始元の最小多項式

スターバックス 文献3の12「体の拡大とg(x)の次数低減」まで来ました。ここで、群の縮小、体の拡大、拡大体の原始元の最小多項式を求めることは、計算上は何を意味するのでしょうか。 正規部分群\(G_{k}\)にガロア対応する体を\(F_{k}\)、 \(F_{k}\)係数のV…

-数学- 可解な方程式を冪根で解く(4) 有限拡大と多項式の次数低減

かき揚げ 文献3の"11. f(x)の分解体に属する元の表記と積・商の計算"の記載の意味を考えてみました。 ちょっとだけ、既約多項式による剰余環と拡大体の同型について復習しましょう。 改訂新版 ガロア理論 作者: 関口次郎 出版社/メーカー: 丸善出版 発売日: 2…

-数学- 可解な方程式を冪根で解く(3) 正規部分群の計算、組成列の計算、可解性判定

チョコレート いよいよガロア群に対して、正規部分群を計算し、それを繰り返して組成列を計算します。 その準備として有限群をデータ構造(defstruct)として定義します。 defstruct(FiniteGroup(permutation_rep=false, degree=0, index_element_set=false, m…