Maxima で綴る数学の旅

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数学

-数学- ラマヌジャンの円周率公式証明の仕組みを調べる

ラマヌジャンの円周率公式のひとつである $$\frac{16}{\pi}=\sum_{k=0}^{\infty }{\frac{\left(42\,k+5\right)\,A_{k}}{2^{6\,k}}}$$ の証明を調べてMaximaで式変形を追いながら理解することができました。2021年10月21日に書いた記事 から始まるこの1年間…

-数学- ラマヌジャンの円周率公式の証明(アイゼンシュタイン級数とその応用)

今回は今までに得られたアイゼンシュタイン級数の公式を元にして、ラマヌジャンの円周率公式のひとつを証明します。今回証明するのは次の式です。 $$\frac{16}{\pi}=5+ \frac{47}{64}\,\left(\frac12\right)^3 + \frac{89}{64^2}\,\left(\frac{1\cdot 3}{2\c…

-数学- アイゼンシュタイン級数とその応用

今回は今までに求めてきた2つの\(P(q)\)に関する数式を、\(n\)を適当な自然数として\(q=e^{-2\,\pi\,\sqrt{n}}\)の場合に特化した数式として計算してみます。とは言ってもおおむね代入して整理するだけです。 その系として次の式がほぼ自明に得られることも…

-数学- アイゼンシュタイン級数の変換公式(その6)

庭で見つけた足長蜂の巣。業者の方に退治してもらいました。 今回は次の公式を証明します。 \(P(q)=1-24\,\sum_{n=1}^{\infty}\frac{n\,q^n}{1-q^n}, a\,b=\pi^2\)として、 $$ 6-a\,P\left(e^{-2\,a}\right)=b\,P\left(e^{-2\,b}\right)$$ 参考文献としては…

-数学- アイゼンシュタイン級数の変換公式(その5) 補足

ひとつ前の記事 maxima.hatenablog.jp を書き終えてからひとつ心に引っ掛かっていることがありました。普通は保型性を関数が\( z+1 \)や\(1/z\)で不変という形で表します。しかしラマヌジャンは\(a, b \gt 1, a\,b=\pi^2\)ならば\(h(a)=h(b)\)のような形で表…

-数学- アイゼンシュタイン級数の変換公式(その4)

今回はラマヌジャンのテータ関数の変換公式と呼ばれる次の式を証明します。次回以降でこの式からアイゼンシュタイン級数の変換公式を導きます。 $$ b^{\frac{1}{4}}\,e^ {- \frac{b}{12} }\,f\left(-e^{- 2\,b\,n }\right)=a^{\frac{1}{4}}\,e^ {- \frac{a}{…

-数学- アイゼンシュタイン級数の変換公式(その3)

前回、アイゼンシュタインの変換公式を証明しました。この公式は数理科学2020年8月号の平田典子さんの記事においても、そのほかのラマヌジャンの円周率公式の証明の論文を見ていても基本的な式となっています。 今回はアイゼンシュタインの変換公式の応用と…

-数学- アイゼンシュタイン級数の変換公式(その2)

前回の記事 maxima.hatenablog.jp ではラマヌジャンの円周率公式の証明を理解したい、という動機を説明し、そこで使われるアイゼンシュタイン級数の変換公式について説明しました。 この記事ではその証明をMaximaで追っていきます。 window.addEventListener…

-数学- アイゼンシュタイン級数の変換公式

ラマヌジャンの円周率公式は少なくとも17種類がラマヌジャンのノートブックに記載があり、さらにその後の研究で大量に類似の公式が見つかっています。それらの証明はいろいろな手法が使われており難易度も様々なようですが、数学愛好家としてはその1つくら…

-数学- 超幾何関数のクローゼンの公式と2次変換公式の合わせ技

ラマヌジャンの\(\frac{1}{\pi}\)公式に関する論文や記事を読んでいるとしばしば以下の公式に出会います。 $$_{2}F_1\left(\frac12,\frac12;1;x\right)^2= {}_3F_2\left(\frac12,\frac12,\frac12;1,1;4\,x\,(1-x)\right)$$ 大抵クローゼンの公式の特殊な場合…

-数学- 超幾何関数の関数の2次変換公式

上記2つの記事で超幾何関数に関するクローゼンの公式を証明しました。それはこんな式でした。 $$_{2}F_1\left(a,b;a+b+\frac12;x\right)^2= {}_3F_2\left(2\,a,2\,b,a+b;2\,a+2\,b,a+b+\frac12;x\right)$$ しかし、ラマヌジャンの\(\frac{1}{\pi}\)に関する…

-数学- 超幾何関数に関するクローゼンの公式(微分方程式の初期値の一致)

ではガウス超幾何関数と一般超幾何関数の間の公式 $$_{2}F_1\left(a,b;a+b+\frac12;x\right)^2= {}_3F_2\left(2\,a,2\,b,a+b;2\,a+2\,b,a+b+\frac12;x\right)$$ の証明の主要な部分を行いました。方針としては左辺も右辺も同じ3階の微分方程式を満たすこと…

-数学- 超幾何関数に関するクローゼン(Clausen)の公式

トーマスクローゼンは1828年に雑誌クレレに発表した論文で、ガウス超幾何関数\({}_2F_1(a,b;c;x)\)の2乗が一般超幾何関数\({}_3F_2(a,b,c;d,e;x)\)と等しくなるための条件を求めました。その結果次の式が成り立つことを証明しました。 $$_{2}F_1\left(a,b;a…

-数学- 超幾何関数と超幾何微分方程式(2)

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-数学- 超幾何関数と超幾何微分方程式(1)

超幾何関数は特定の微分方程式(超幾何微分方程式と呼ばれています)を満たすことが知られています。今回はパラメータを3つ持つガウスの超幾何関数\(_{2}F_{1}(a,b;c;x)=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(a)_n\,(b)_n}{(c)_n}\,\frac{z^n}{n!}\)が超幾何微分方程…

-数学- 超幾何関数とテータ関数の恒等式のまとめ

今回は一体「超幾何関数とテータ関数の恒等式」シリーズは何だったのかという説明です。昨年11月ごろに超幾何関数の勉強の記事を数本書いた後、楕円積分と超幾何関数の関係の記事を書きました。その後、流れでこのシリーズを始めました。本来動機や背景を最…

-数学- 超幾何関数とテータ関数の恒等式(7)

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-数学- 超幾何関数とテータ関数の恒等式(6)

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-数学- 超幾何関数とテータ関数の恒等式(5)

今回もこの本の第5章がテキストです。 Number Theory in the Spirit of Ramanujan (Student Mathematical Library) 作者:Berndt, Bruce C. Amer Mathematical Society Amazon Lemma 5.2.6の5.2.6の証明を見て行きます。超幾何関数とテータ関数の4乗の間に成…

-数学- 超幾何関数とテータ関数の恒等式(4)

前回の記事では大変美しい式: $$ F\left(1-\frac{\varphi\left(-q\right)^4}{\varphi\left(q\right)^4}\right)=q $$ を証明しました。 \(q\)に適当な数値を入れて左辺を計算すると結果としてその\(q\)が出力されるということです。テータ関数と超幾何関数が…

-数学- 超幾何関数とテータ関数の恒等式(3)

今回もこの本より、 Number Theory in the Spirit of Ramanujan (Student Mathematical Library) 作者:Berndt, Bruce C. Amer Mathematical Society Amazon 第5章の定理5.2.5の証明を読んでいきます。 今回は、Lemma 5.1.10, Corollary 5.2.4, テータ関数の…

-数学- 超幾何関数とテータ関数とその恒等式(2)

Number Theory in the Spirit of Ramanujan (Student Mathematical Library) 作者:Berndt, Bruce C. Amer Mathematical Society Amazon 今回は本書第5章のLemma 5.2.4の証明を見て行くことにします。 本に載っている証明は必要最低限の式変形が提示されてい…

-数学- 超幾何関数とテータ関数とその恒等式

明けましておめでとうございます。今年もMaximaを使った数学の記事を書いていきますので、よろしくお願いします。 早速ですがいつもの参考図書の第5章 Lemma 5.2.3とその証明を見ていきます。 Number Theory in the Spirit of Ramanujan (Student Mathematic…

-数学- ランデン変換に関わるテータ関数の恒等式

いつもの本 Number Theory in the Spirit of Ramanujan (Student Mathematical Library) 作者:Berndt, Bruce C. Amer Mathematical Society Amazon のChapter 5, Lemma 5.2.2を読んでいきます。 Lemma 5.2.2 \(x\)を、\(0 \lt x \lt 1\)の時に次の式を満たす…

-数学- ラマヌジャンのテータ関数(今後の議論に必要な定義と定理)

この本の第5章のLemma 5.2.1まで証明を見て来ました。ここまではほぼ超幾何関数の議論だけで済んだのですが、ここから先はラマヌジャンのテータ関数の知識が必要になります。 そのための必要最小限の定義とこの先に必要な等式をここで述べておきます。証明は…

-数学- 超幾何関数の指数関数とその恒等式

今回も下記の本の第5章からCorollary 5.2.1の証明を見ていきます。 Number Theory in the Spirit of Ramanujan (Student Mathematical Library) 作者:Berndt, Bruce C. Amer Mathematical Society Amazon

-数学- 超幾何関数F(1/2, 1/2; 1; 1-x)のx=0付近での振る舞い

Number Theory in the Spirit of Ramanujan (Student Mathematical Library) 作者:Berndt, Bruce C. Amer Mathematical Society Amazon この本のChapter 5よりLemma 5.1.10が今回のお題です。 Lemma 5.1.10. \(x\rightarrow 0^{+}\)の時、 $$\pi\,F(\frac{1}…

-数学- 超幾何関数の簡単な補題

この本のChapter 5からCorollary 5.1.7を見てみます。 Number Theory in the Spirit of Ramanujan (Student Mathematical Library) 作者:Berndt, Bruce C. Amer Mathematical Society Amazon

-数学- 超幾何関数を使って楕円積分のランデン変換を示す

超幾何関数とテータ関数の関係式: $$\varphi^2(q)=F(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1,x)$$ というものを理解したく、色々と調べていると実は買って積んであった手元の本に証明が載っていることを発見しました。 Number Theory in the Spirit of Ramanujan (Stude…

-数学- 超幾何関数 楕円積分も超幾何関数です

前回の記事では超幾何関数を使って様々な初等関数を表すことができました。今回は楕円積分が超幾何関数である、ということを説明します。 楕円積分にはいくつかの種類があり、今回扱うのは第1種完全楕円積分と呼ばれるもので、以下の式で表されます。 $$ \i…