ではガウス超幾何関数と一般超幾何関数の間の公式
$$_{2}F_1\left(a,b;a+b+\frac12;x\right)^2= {}_3F_2\left(2\,a,2\,b,a+b;2\,a+2\,b,a+b+\frac12;x\right)$$
の証明の主要な部分を行いました。方針としては左辺も右辺も同じ3階の微分方程式を満たすこと、3階までの微分係数の初期値が一致することを示して、実は同じ関数であったことがわかる、というやり方でした。上記の記事では定理の式の右辺と左辺が同じ3階の微分方程式を満たすことを示しました。
今回は続きとして、\(x=0\)での間数値及び3階までの微分係数が一致することを示します。より正確には以下を示します。
\(F(x)={}_{2}F_1\left(a,b;a+b+\frac12;x\right), G(x)={}_3F_2\left(2\,a,2\,b,a+b;2\,a+2\,b,a+b+\frac12;x\right)\)として、\(F(0)^2=G(0), F'(0)^2=G'(0), F''(0)^2=G''(0), F'''(0)^2=G'''(0)\)を示します。
一般に関数\(f(x)\)のマクローリン展開の公式は、
$$f(x)=\sum_{n=0}^{\infty}{f^{(n)}(0)\,\frac{x^n}{n!}}$$
でした。したがってクローゼンの公式の両辺を別々にマクローリン展開してその係数が\(n=0,\dots,3\)で一致することを示せば今回の証明は終了します。
実際には\(F(x)\)も\(G(x)\)も超幾何関数として冪級数定義が与えられています。そこで\(F(x)^2\)についてはコーシー積の公式を使って冪級数展開を求めます。\(G(x)\)は超幾何関数の定義をそのまま使います。実際の計算は以下の通りです。