Maxima で綴る数学の旅

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-数学- 2次変換公式を取り替えて、さらに別のラマヌジャンの円周率公式を証明しよう(2)

P3C

 

今回は次の公式を証明します。

$$\frac{2}{\pi}=\sum_{k=0}^{\infty}(-1)^k\,A_k\,(4\,k+1), ただしA_k=\frac{\left( \frac12\right)_k^3}{k!^3}$$

Nayandeepさんの論文

"EISENSTEIN SERIES AND RAMANUJAN-TYPE SERIES FOR 1/π"

では多くの円周率公式についてその証明が一定のフォーマットで与えられています。このシリーズではそのフォーマットをフレームワークと呼び、その一部を取り替えることで円周率公式とその証明が量産される様を見てきています。

 

前回の記事

maxima.hatenablog.jp

では2次変換公式を米国NISTのDLMFから見つけてきて、それを使うことでフレームワークの中のクローゼンの公式の特別な場合と\(P(e^{-2\,\pi\,\sqrt{n}})\)の公式がどう変化するかを見てきました。その結果、

$${}_2F_1\left(\frac12,\frac12;1;x\right)^2=\frac{1}{1-x}\cdot{}_3F_2\left(\frac12,\frac12,\frac12;1,1;-\frac{4\,x}{(1-x)^2}\right)$$

$$P\left(q^2\right)=-\frac{\left(\sum_{k=0}^{\infty }{Y^{k}\,\left(3\,k+1\right)\,\left(-1\right)^{k}\,A_{k}}\right)\,\left(x+1\right)}{x-1}$$

$$P\left(e^ {- 2\,\pi\,\sqrt{n} }\right)=-\frac{\left(x_{n}+1\right)\,\sum_{k=0}^{\infty }{\left(3\,k+1\right)\,\left(-1\right)^{k}\,A_{k}\,Y_{n}^{k}}}{x_{n}-1}$$

を示しました。

 

今回はこれらの結果を使って\( \frac{2}{\pi}=\sum_{k=0}^{\infty}(-1)^k\,A_k\,(4\,k+1)\)を示していきます。証明の構造や式変形が以前の証明とほとんど同じため、ノートブックもかなりの部分が再利用できました。