Maxima で綴る数学の旅

紙と鉛筆の代わりに、数式処理システムMaxima / Macsyma を使って、数学を楽しみましょう

数学

-数学- タクシー数と母関数

パピヨンの仔犬!! ちょっと調べ物をしていたらokwaveという調べ物サイトに面白い記事がありました。 okwave.jp タクシー数:2つの正の3乗数(立方数ともいう)の和として2通りに表すことが出来る最小の整数。具体的には1729。 ラマヌジャンのタクシー数と…

-数学- SympyとGAPで可移部分群の条件から6次方程式のガロア群を高速に求める(4)

今回の話はアルゴリズムは単純で、\(S_n\)の可移部分群を全部求めて、1つづつガロア群かどうかテストしているだけです。当然\(n=6\)でも動作するはずです。 というわけでやってみました。GAPでこの群を求めるのは高速ですが、\(S_6\)の場合、数が279個に増…

-数学- SympyとGAPで可移部分群の条件から5次方程式のガロア群を高速に求める(3)

今回はプログラム編です。いきなりSympyで実装した、可移部分群を使った実装をお見せします。 TransitiveGroups5とかTransitiveGroup4という変数に、大量のPermutationGroupのインスタンスのリストが設定されています。これらはそれぞれ、全て\(S_5\), \(S_4…

-数学- SympyとGAPで可移部分群の条件から5次方程式のガロア群を高速に求める(1)

Sympyを使ってみて、群論のサポートがMaximaよりも手厚く、そこは非常に良い点と思いました。Pythonという言語に親しむことも出来ました。そんな作業をしながら、目についた論文やネット記事を読んでいると、方程式が与えられたときに、そのガロア群を求める…

-数学- はじめてSympyを使ってみた! ーガロア群の計算を題材にしてー

この記事ではPython上で動作する数式処理システムSympyを使ってみた感想を書いていきます。 世の中ではPythonというプログラミング言語が大流行しています。スクリプト言語なので、簡単にプログラムを書いて試すことができること、データ処理、機械学習など…

-数学- 高次の円分多項式で係数が1,0,-1以外になる場合の計算による確認

鈴木の定理の証明は、係数がnや-nになる円分多項式及び、そうなるその円分多項式のその部分の係数を簡単に計算する方法を与えています。従って実際にMaximaで計算してみることが出来ます。 まず論文中の補題\( (P)\)の条件を満足する素数列を得る必要があり…

-数学- 円分多項式をmod \(X^{p+1}\)で調べる

鈴木の定理の証明(前半):\(t\)を3以上の任意の奇数とし、素数\(p_1 \lt p_2 \lt \cdots \lt p_t\)を、\(p_1 + p_2 \gt p_t\)を満たす異なる\(t\)個の素数とします。また\(p=p_t, n=p_1\,p_2\,\cdots p_t\)とします。そして\(\Phi_n(X)\, mod X^{p+1}\)に…

-数学- 円分多項式の係数と素数分布

\((P)\) 任意の3以上の自然数\(t\)に対して、\(t\)個の異なる素数\(p_1 \lt p_2 \lt \cdots \lt p_t\)を、\(p_1 + p_2 \gt p_t\)が成り立つようにとることができます。 この補題は素数の大きくなるなり方は制限されていることを述べています。証明ではこの制…

-数学- 円分多項式の係数に関する鈴木治郎氏の論文を読む

今回は鈴木治郎氏の次の論文の紹介です。 Jiro Suzuki, On Coefficients of Cyclotomic Polynomials, Proceedings of Japan Academy Series A, 63, 1987 この論文はPDFがProject Euclidで公開されています。 Xを変数とするn次円分多項式の\(X^i\)の係数を\(c…

-数学- 円分多項式の係数は-1,1,0だけではありません

以前、せきゅーんさんのブログ記事で、円分多項式の係数の話がありました。 105:円分多項式の係数と鈴木の定理 - INTEGERS 円分多項式の係数を計算してみるととても明らかな規則性(係数はどれも0,1,-1のどれか)と思われるものが見えるのですが、実はその規…

-数学- 美しい連分数を作る

オイラーの連分数と級数の関係公式を使えば、誰でも簡単に美しい連分数を作ることができます。例えば、\(\frac{\pi^2}{12}\)の連分数展開: (%i??) [powerdisp,simp]:[true,false]$ (%i2) %pi^2/12=1/(1+1^2/(3+2^2/(5+3^2/(7+4^2/(9+5^2/z))))); $$ \tag{${…

-数学- オイラーの連分数

連分数といえばオイラーです。 オイラーの無限解析 作者:レオンハルト オイラー 発売日: 2001/06/01 メディア: 単行本 の第18章が連分数に当てられています。ここでオイラーは連分数と級数の関係を明らかにして、その応用としてよく知られた数学定数に対して…

-数学- 連分数と一次分数変換と行列

連分数は一次分数変換、従って2x2の正方行列ともとても強い結びつきがあります。 数理科学 2020年 08 月号 [雑誌] 発売日: 2020/07/20 メディア: 雑誌 この辺の導入的な話が、数理科学2020年8月号のラマヌジャン特集の中にありました(岡崎龍太郎:連分数、p…

-数学- ガロア群の自己同型写像の行き先を計算してみた

\(Q\)の拡大\(Q(\sqrt{2},\sqrt{3})\)のガロア群\(Gal(Q(\sqrt{2},\sqrt{3}))\)の要素である自己同型写像を1つ取り(\(\sigma\)とする)、その写像による\(\sqrt{2}\)及び\(\sqrt{3}\)の行き先である\(\sigma(\sqrt{2})及び\sigma(\sqrt{3})\)を計算してみま…

-数学- n次方程式のガロア群がn次対称群\(S_n\)の真部分群になるのはどんな時?

文字係数の\(n\)次方程式のガロア群は\(n\)次対称群\(S_n\)です。一方、ガロア群を求めるプログラムを書いて、具体的な数値を係数としてもつ、色々な方程式を試していると、ガロア群が\(n\)次対称群\(S_n\)になることもあれば、その真部分群になることもあり…

-数学- 現代的な原始元定理と単拡大の原始元の構成方法

アクセス解析を見ていると、最近「ガロア理論 計算」みたいなキーワードで見にきてくださる方がいて、嬉しい限りです。 久しぶりにこの辺の記事を書いた時のことを思い出し、いくつかしっかりとは理解できていないことを思い出しました(色々理解できていな…

-数学- 楕円モジュラー関数/j不変量 (6)  まとめと実行ファイル

今回のシリーズは楕円モジュラー関数/j不変量\(j(t)\)の虚2次無理数での値を厳密に計算できることを知り、Maximaで実装してみた、ということでした。 各回の実行例は、以下のurlからjupyter notebookの形式で見ることもできますし、こちらのgithubレポジト…

-数学- 楕円モジュラー関数/j不変量 (5)  j(t)の特殊値の計算

この記事のコードをJupyter notebook形式で見るにはこちら。 このシリーズの目標は楕円モジュラー関数/j不変量の虚2次無理数での値を正確に求めることでした。そのために前回の記事: maxima.hatenablog.jp ではヒルベルト類多項式を求めました。\(j(t)\)は…

-数学- 楕円モジュラー関数/j不変量 (4) ヒルベルト類多項式を求める

この記事のコードをJupyter notebook形式で見るにはこちら。 共通の判別式\(D\)を持つ簡約虚2次無理数を全て求めることが出来れば、ヒルベルト類多項式を求めるのはあと一歩です。まずヒルベルト類多項式の定義を見てみましょう。 $$P_{D}(x)=\prod_{i=1}^{…

-数学- 楕円モジュラー関数/j不変量 (3) 虚2次無理数と判別式

この記事のコードをJupyter notebook形式で見るにはこちら。 数年前に虚2次無理数、判別式、モジュラー変換、基本領域などの記事を書きました。 この続きのような内容になります。またInFD(), FindInFD()は当時作った関数達です。 当時分からなかったのは、…

-数学- 楕円モジュラー関数/j不変量 (2) 実行例

この記事のコードをJupyter notebook形式で見るにはこちら。 楕円モジュラー関数のAPIをまとめてgithubに公開しました。 以下(%i1),(%i2)はmaxima-asdfという便利な道具を使ってgithubからダイレクトにダウンロード、ロードして実行する実行例になっています…

-数学- 楕円モジュラー関数/j不変量 (1) はじめに

2017年ごろ、このブログで楕円関数や楕円曲線、ワイエルストラスのペー関数、アイゼンシュタイン級数などの記事を書きました。その際、以下のような文章も書いたのですが、結局投稿せずにお蔵入りとしました。 楕円曲線やモジュラリティ定理の話を勉強してい…

Natural Number Game = Lean による定理証明支援を学ぶ

泡のカフェオレ コンピュータを使って数学を少しでも楽にやれる手段として、、定理証明支援系(定理の証明を支援してくれるソフトウェア)を使って、定理の証明を確実に行なったり、部分的に証明を自動化することが挙げられます。 このブログで紹介している…

-数学- リーマンの素数個数関数の明示公式 (4) von Mangoldt関数とゼータ非自明零点のピーク

この記事のコードをJupyter notebook形式で見るにはこちら。 リーマンの明示公式を構成する\(J(x)\)関数の第1項を簡素化した次の式を使ってゼータの非自明零点を足し合わせると、素数のピークが現れること、この式がvon Mangoldt関数と呼ばれるある数論的関…

-数学- リーマンの素数個数関数の明示公式 (3) 非自明零点の足し合わせと素数のピーク

この記事のコードをJupyter notebook形式で見るにはこちら。 素数個数関数に対するリーマンの明示公式で使用した\(J(x)\)関数の第1項が素数の位置を正確に知っている、というお話しをしました。この項がゼータ関数の非自明零点からの貢献になっています。た…

-数学- リーマンの素数個数関数の明示公式 (2)

この記事のコードをJupyter notebook形式で見るにはこちら。 素数個数関数に対するリーマンの明示公式を再掲します。 $$ J\left(x\right)=-\sum_{i=1}^{\infty }{\left({\it li}\left(x^{\rho_{i}^\star}\right)+{\it li}\left(x^{\rho_{i}}\right)\right)}+…

-数学- リーマンの素数個数関数の明示公式 (1)

(サバのトマト缶パスタ) このシリーズでは素数個数関数に関するリーマンの明示公式をMaximaで計算して、そのグラフをお見せしたいと思います。 \(x\)を正の実数として、\(x\)以下の素数の個数を表す関数を\(\pi(x)\)と書くことにします。例えば\(\pi(10)=4…

-数学- Youtubeビデオ 圏論勉強会で学んだこと(9) 随伴

最終回である第13回の圏論勉強会ビデオです。 なんとか随伴まで辿りつけたことは非常に嬉しいことです。 第13回圏論勉強会@ワークスアプリケーションズ その1 随伴の定義も第1回に出てきたのですが、資料の定義を見てもHom集合には言及せずに書いてあり、解…

-数学- Youtubeビデオ 圏論勉強会で学んだこと(8) 米田の補題

第12回圏論勉強会@ワークスアプリケーションズ その1 米田の補題の理解に向けて、反変函手、反変Hom函手を復習します。 反変函手とは圏\(\mathcal{C}\)から\(\mathcal{D}\)への対応\(F\)で、任意の\(\mathcal{C}\)の対象\(A, B\)と射\(f:A\rightarrow B\)に…

-数学- Youtubeビデオ 圏論勉強会で学んだこと(7)

第12回圏論勉強会@ワークスアプリケーションズ その1 第12回 自然変換と米田の補題 関手と関手の間の自然変換 関手\(F, G:\mathcal{C}\rightarrow \mathcal{D}\)の間の自然変換\(\theta\)とは\(\theta_X:F(X)\rightarrow G(X)\)の集合で、任意の\(\mathcal{C…