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-数学- 有限体のガウス和による平方剰余の相互法則の証明 (4) 平方剰余の定義と相互法則

 

いよいよこのシリーズも核心に入っていきます。今回は平方剰余の定義を与え、平方剰余記号を定義します。また平方剰余の基本的な性質を示した後、平方剰余の相互法則と関連する補充則などを紹介し、簡単なものには証明をつけます。最後に平方剰余の相互法則をより対称な形で表した命題を提示し、それが成り立つことをMaximaで再確認してみます。

 

定義 \(p\)を奇素数として\(a\)を\(p\)と互いに素な整数とします。\(a\)がある整数\(n\)の平方と法\(p\)で合同である時、\(a\)を\(p\)の平方剰余であるといいます。式で書けば、方程式\(X^2\equiv a\,(mod\,p)\)が解を持つことが必要十分です。

平方剰余の記号を次のように定義します。
$$\left(\frac{a}{p}\right)= \begin{cases}
1 & (aはpの平方剰余)\\
-1 & (aはpの平方剰余でない)
\end{cases}$$

 

平方剰余の相互法則とその周辺の幾つかの定理は、上記の$a, p$が与えられた時に平方剰余記号を計算する方法を与えるものです。ただそのような高度な結果に行く前に、平方剰余記号に関する幾つかの基本的な結果を知っておく必要があります。

命題4.3 $p$を奇素数、$a,b$を$p$と互いに素な整数、$r$を法$p$での原始根で$a\equiv r^k\,(mod\,p),\,b\equiv r^l\,(mod\,p)$とします。
$$ \begin{eqnarray}
\tag{1} & a\equiv b\,(mod\,p) \implies \left(\frac{a}{p}\right)=\left(\frac{b}{p}\right) \\
\tag{2} & \left(\frac{a}{p}\right)=(-1)^k \\
\tag{3}& \left(\frac{a\,b}{p}\right)=\left(\frac{a}{p}\right)\,\left(\frac{b}{p}\right)\\
\tag{4}& \sum_{a=1}^{p-1}{\left(\frac{a}{p}\right)}=\left(\frac{1}{p}\right)+\left(\frac{2}{p}\right)+\cdots +\left(\frac{p-1}{p}\right)=0
\end{eqnarray} $$

証明  
(1) 定義より明らかですね。
(2) $a\equiv r^k$において$k$が偶数であれば$a$は平方数であり$a$は$p$の平方剰余となります。$k$が奇数ならば$a$は平方数ではないので$a$は$p$の平方非剰余でです。
(3) $\left(\frac{a\,b}{p}\right)=\left(\frac{r^k\,r^l}{p}\right)=\left(\frac{r^{k+l}}{p}\right)=(-1)^{k+l}=(-1)^k\,(-1)^l=\left(\frac{a}{p}\right)\,\left(\frac{b}{p}\right)$
(4) $\sum_{a=1}^{p-1}{\left(\frac{a}{p}\right)}=\sum_{k=0}^{p-2}{\left(\frac{r^k}{p}\right)}=\sum_{k=0}^{p-2}{(-1)^k}=0$

少し補足すると、(1), (3)及び\(\left(\frac{1}{p}\right)=1\)であることからmod pから\(\pm 1\)への写像\(a\mapsto \pm 1\)が準同型写像になっていることがわかります。

また(4)は平方剰余と平方非剰余は同じ個数であることがわかります。

 

いよいよ平方剰余の相互法則とその周辺の定理を紹介します。それらはオイラーの基準、第1補充則、第2補充則、相互法則、と呼ばれています。簡単に証明できるものは証明も記載します。第2補充則と相互法則は証明が長いので別立てにします。

以下$p,q$を奇素数、$a$を$p$と互いに素な整数とします。  
命題4.5 オイラーの基準
$$\left(\frac{a}{p}\right)\equiv a^{\frac{p-1}{2}}\,(mod\,p)$$

証明  
フェルマーの小定理から$a^{p-1}\equiv 1\,(mod\,p)$。両辺の平方根を取ると、$p-1$は偶数であること、1の平方根は$\pm 1$なので$a^{\frac{p-1}{2}}\equiv \pm 1\,(mod\,p)$。$r$を$mod\,p$の原始根とすると$r^{\frac{p-1}{2}}\equiv \pm 1\,(mod\,p)$だが$\frac{p-1}{2}\lt p-1$であること、$r$は原始根である事から$r^{\frac{p-1}{2}}\equiv -1\,(mod\,p)$とわかります。改めて$a\equiv r^k\,(mod\,p)$とすると、$\left(\frac{a}{p}\right)=(-1)^k\equiv (r^{\frac{p-1}{2}})^k\equiv (r^k)^{\frac{p-1}{2}}\equiv a^{\frac{p-1}{2}}\,(mod\,p)$。  
Q.E.D.


命題4.7 第1補充則  
$$\left(\frac{-1}{p}\right)=(-1)^{\frac{p-1}{2}}=\begin{cases}
1 & p\equiv 1\,(mod\,4)\\
-1 & p\equiv 3\,(mod\,4)
\end{cases}
$$
証明  
オイラーの基準で$a=-1$とすると$\left(\frac{-1}{p}\right)\equiv (-1)^{\frac{p-1}{2}}\,(mod\,p)$。両辺は$1$か$-1$しかとらないので等号で成り立つ。  
Q.E.D.  

 

命題4.8 第2補充則  
$$\left(\frac{2}{p}\right)=(-1)^{\frac{p^2-1}{8}}=\begin{cases}
1 & p\equiv 1,7\,(mod\,8)\\
-1 & p\equiv 3,5\,(mod\,8)
\end{cases}
$$  
証明は後述。


命題4.9 相互法則  
$$\left(\frac{q}{p}\right)\,\left(\frac{p}{q}\right)=(-1)^{\frac{p-1}{2}\,\frac{q-1}{2}}=\begin{cases}
1 & p\equiv 1\,(mod 4)\,or\, q\equiv 1\,(mod\,4)\\
-1 & p\equiv q\equiv 3\,(mod\,4)
\end{cases}$$  
証明は後述。

 

命題4.11  
$q^{\ast}$を$q^{\ast}=\left(\frac{-1}{q}\right)\,q=\begin{cases}
q & q\equiv 1\,(mod 4)\\
-q & q\equiv 3\,(mod\,4)
\end{cases}$と定義すると、
$$\left(\frac{q^{\ast}}{p}\right)=\left(\frac{p}{q}\right)$$
証明  

$q\equiv 1\,(mod\,4)$の場合には、定義から$\left(\frac{q^{\ast}}{p}\right)=\left(\frac{q}{p}\right)=\left(\frac{p}{q}\right)$。
$q\equiv 3\,(mod\,4)$の場合には、$\left(\frac{q^{\ast}}{p}\right)=\left(\frac{-q}{p}\right)=\left(\frac{-1}{p}\right)\left(\frac{q}{p}\right)=(-1)^{\frac{p-1}{2}}\,(-1)^{\frac{p-1}{2}\,\frac{q-1}{2}}\left(\frac{p}{q}\right)=\left(\frac{p}{q}\right)$。最後の等号は仮定の$q\equiv 3\,(mod\,4)$を再び使うと得られます。

Q.E.D.

命題4.11だけMaximaで試してみることにします。