この夏、毎日暑い日がつづています。そんな中、少し基本的な数学の勉強をしています。遠い昔、大学生の頃に多分一応勉強したと思うのですが、結構曖昧な部分も多いまま、なんとなく知っているふりをしてきた、複素関数のことです。
正則関数から初めて有理型関数を理解し、ある複素関数が有理型かどうかをわかるようになることが目標です。ものすごく具体的には、
「$\Gamma(s)$ は $C$ 上の有理型関数に解析接続される. 極は $s = 0, −1, −2, \cdots$ にあって全て1 位であり, $s = −n$ での留数は$ \frac{(−1)^n}{n!} $である。」
「$\frac1{\Gamma(s)}$は整関数である。」
「$\zeta(s) $は $C$ 上の有理型関数に解析接続され, その極は $s = 1$ のみにあり, 単純極である。」
などの言明の意味をきちんと理解出来るようになることが目標です。
教科書を1冊選んで勉強するのが良いとは思うのですが、手軽に読める資料を幾つかピックアップして見比べながら勉強することにしました。
お手軽に読める本として
公開されている大学での講義ノートから
2021年度現代数学基礎CIII 講義ノート 柳田 伸太郎氏 名古屋大学
自分で勉強した際のメモを数回にわたって覚書のような形で書いていこうと思います。定義と定理とそれらの自分の理解という形のメモになりそうです。また出来るだけ定義や定理を丸写しせずに自分の言葉にできるところはしています。
話の流れは以下のようになります。
- 1回微分できる関数として正則関数を定義します。また冪級数を定義し、それが正則関数になることを理解します。冪級数の微分は冪級数になるので冪級数は無限回微分できることが分かります。
- 次に線積分を導入し、正則関数のコーシーの積分定理やコーシーの積分表示(公式)を勉強します。
- この積分表示を利用すると正則関数は必ず冪級数に展開できる(解析関数である)ことが分かります。このことから正則関数は無限回微分できることが分かります。
- 次に解析接続を勉強します。正則関数をある領域で定義した場合、その領域を含むより広い領域に定義を拡張する場合その拡張は一位に定まる、ということです。
- ここまでで正則関数の勉強は終了します。正則関数はとても滑らかで無限回微分でき、狭い領域でも定義されるとその周りへの拡張は一意に決まる、ということが分かりました。
- この滑らかな状態が破れる点として特異点を導入し、除去可能な特異点、孤立特異点、真性特異点などに分類します。そしてある領域内でいくつかの孤立特異点を除いて正則な関数、として有理型関数を理解します。
- ローラン展開を勉強します。
- そして具体的な関数としてガンマ関数やゼータ関数が有理型関数に解析接続できる、ということについて理解します。
上記の流れに従って、今回も数回のシリーズ記事を予定しています。
第1回
正則関数と冪級数
第2回
コーシーの積分定理
コーシーの積分表示(公式)
正則関数の続き
第3回
一致の定理と解析接続
第4回
留数
孤立特異点
有理型関数
第5回
ガンマ関数と解析接続
第6回
ゼータ関数と解析接続