Maxima で綴る数学の旅

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-数学- Youtubeビデオ 圏論勉強会で学んだこと(1)

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2013年 盆踊り(当時は三密OK!)

 

ノートを取ると理解が定着しそうなこと、しばらく経って忘れた頃、見直す何かがあると便利だと思い、勉強ノートを書きます。

可換図式はmathjaxのxyjax (latexのxypicを移植したもの)で書きました。別記事でこの設定についても書く予定です。

 

副読本として、、、私が持っている唯一の圏論の本はこれです。

層・圏・トポス―現代的集合像を求めて

層・圏・トポス―現代的集合像を求めて

  • 作者:竹内 外史
  • 発売日: 1978/01/20
  • メディア: 単行本
 

最初の動機の部分、前層、層の話を全部飛ばして、圏の話だけ読めば、定義の確認には便利です。 またその圏の部分でも割とすぐに様々な射の紹介が出てくるのですが、このビデオ講座ではそれを後回しにしていて、発表者の工夫が感じられます。

 

第1回:抽象性のご利益

圏論のプロダクトという構造がデータ型だと対、自然数の集合と大小関係だと最大、最小、集合と包含関係だと共通集合、合併集合に相当する。この概念の共通性が大事。

概念の整理のために、概念の内部構造を調べるのではなく、概念とその周りの概念の関係を調べる。概念が「対象」で関係が「射」。圏論では対象と射で調べる。

2つの対象A, Bが同型である、とは、 f:A->Bという射とg:B->Aという射があって、それらの合成射gfはAの恒等射、合成射fgはBの恒等射になること、と定義される。AとBの中身の対応は見ていない。

$$\xymatrix{A\ar@/^1pc/[rr]^{1_A} \ar[r]_{f} & B\ar[r]_{g} & A} \, \xymatrix{B\ar@/^1pc/[rr]^{1_B} \ar[r]_{f} & A\ar[r]_{g} & B} $$

 

函手は2つの圏の間の関係で、対象と射が関係を保って写される。函手は、、、圏の内部構造を保つ関係。ここでは圏の中身の対応を見ている。

$$ \xymatrix{
A \ar[r]^{f} \ar[rd]_{g\circ f}& B\ar[d]^{g} \\
   & C
}
\xymatrix{
\ar@<-4ex>[rr]^{F} & &
}
\xymatrix{
F(A) \ar[r]^{F(f)} \ar[rd]_{F(g\circ f)} & F(B)\ar[d]^{F(g)} \\
   & F(C)
}
$$

 

双対圏とはある圏に対して対象は同じだが、射の向きが逆である圏。

2つの圏があり、それらの間の2つの函手の間の対応の自然性とは、どちらも元の圏の構造を保っていること。そのときそれらの函手の間に自然変換\( \theta \)があるという。

$$\xymatrix{
A\ar[d]^{f} \\ B
}
\xymatrix{
\ar@<-4ex>[rr]^{F,G} & &
}
\xymatrix{
F(A) \ar[r]^{\theta_A}\ar[d]^{F(f)} & G(A) \ar[d]^{G(f)}\\
F(B) \ar[r]^{\theta_B}& G(B)
}$$

随伴とは下の圏の対象から上の圏の対象に、ある函手で上がって、射で写った先から下の圏の対象に戻ると、元の対象からの射で写ってきていて、これらの射の間に自然な変換があることを言うらしい。

 

 

第2回:モノイド勉強会

モノイドは群から逆元公理を除いたもの。単位元はあり結合法則は成り立つ。

文字列は空文字列を単位元として、連結を演算とする。連結には結合法則が成り立つ。

列は空列を単位元として、連結を演算とする。連結には結合法則が成り立つ。

構造上の要素がモノイドであるとき、様々な構造を列に畳み込めれば、構造全体上の計算をモノイド計算で表すことができる。元の構造の要素を2項演算の一方の引数にして1変数関数化し、それを列に畳み込んでから1変数関数の写像の合成を実行するとことをfoldmapと呼ぶ。

モノイドからモノイドへの準同型は重要。

モノイドはモノイド台集合上の自己準同型写像の部分モノイドに同型になる。

つまりモノイドは一つの対象とその上の(複数の)射からなる圏。

自由モノイドは列と空列と連結だけからなるモノイド。自由モノイドの長さ1の列の行き先が決まると、列全体の行き先が決まる。

群や自由群も同様に考えられる。

 

第3回:様々な圏の具体例を知る

集合のなす圏=Sets。モノイドのなす圏=Mon。群のなす圏=Grp。グラフのなす圏=Graph。構造と準同型を持つ圏。

1つの集合をとり、その中の各要素を対象、各要素から自分自身への恒等射だけが射とするような圏を離散圏という。元の集合と同一視できる。

実数の集合と連続関数の圏。

位相空間連続写像の圏=Top。

順序集合と単調写像の圏。

空圏(対象がない)、1(対象が一つ)、2(対象が2つと恒等射でない射が1つ)、3(対象が3つと恒等射でない射が3つ)

1から圏Cへの函手は、Cの対象と同一視できる

2から圏Cへの函手は、Cの射と同一視できる

3から圏Cへの函手は、Cの中の射の合成と同一視できる。

ある圏から別の圏への函手はCの中で元の圏の形とマッチする。

圏から別の圏を作る方法がある。

積圏:CxD。対象はCの対象とDの対象の対。射はCの射とDの射の対。射の合成は対のそれぞれを合成:\( (f_1,f_2)\circ(g_1,g_2) = (f_1 \circ g_1,\,  f_2 \circ g_2) \)。

$$
\begin{array}{ccc}
\mathcal{C} & \mathcal{D} & \mathcal{C \times D} \\
\xymatrix{
A\ar[d]^{f}  \\
B} & 
\xymatrix{
P\ar[d]^{g} \\
Q} & 
\xymatrix{
(A,P)\ar[r]^{(1_A,\, g)}\ar[d]_{(f, 1_P)} \ar[rd]^{(f, g)}& (A, Q)\ar[d]^{(f,1_Q)} \\
(B,P)\ar[r]^{(1_B,\, g)} & (B, Q)
}
\end{array}
$$

函手圏:圏Cと圏Dを固定して、圏Cから圏Dへの函手F,G,H等を対象として、函手の間の自然変換\( \tau,\, \sigma \)等を射とする圏をD^Cと表す。
$$
\begin{array}{c}
\mathcal{C}=
\xymatrix{
A\ar[d]_f \\
B} \\
\mathcal{D^C}=
\xymatrix{
 & \ar@{~>}[ddl]_{F} & & \ar@{~>}[dd]^G & & \ar@{~>}[ddr]^H & \\
 & \ar@{.>}[r]^{\tau} & & & \ar@{.>}[r]^{\sigma} &  & \\
& & & & & &
} \\
\mathcal{D}=
\xymatrix{
F(A) \ar[rrr]^{\tau_A} \ar[d]^{F(f)} & & & G(A) \ar[rrr]^{\sigma_A} \ar[d]^{G(f)} & & & H(A) \ar[d]^{H(f)} \\
F(B) \ar[rrr]_{\tau_B} & & & G(B) \ar[rrr]_{\sigma_B} & & & H(B)
}
\end{array}
$$

 

自由対象とは?

自由半群とは2項演算と結合律がある。対応するデータ構造は空列のない列。

マグマとは2項演算だけがある。対応するデータ構造は2分木。

XX代数に対して自由XXを考えると対応するデータ構造ができる。

可換モノイドに対して自由可換モノイドはmultiset

冪等可換モノイド に対して自由冪等可換モノイドは集合

圏Cの自由対象。

例えばC^1とCは同型。C^0と1は同型。