Maxima で綴る数学の旅

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-その他- Youtubeビデオ 圏論勉強会で学んだこと(2)

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16年前

 

こちらのビデオの勉強ノートです。


圏論勉強会 第4回


第4回 Hom集合

Hom集合は圏Cの2つの対象の間の射の集合Hom_c(A,B)。

1を要素1つの集合とすると、Hom_sets(1, A)とAは同型。

Hom(1,A)の要素数とAの要素数は同じ。この仕組みで対象の中が射として見える。

Hom_sets(N,R)はN->Rと言う関数の集合で、つまり実数数列の集合になる。

モノイドの間の対応

N+=自然数と加法のモノイド、Zx=整数と掛け算のモノイド、として、Hom_mon(N+, Zx)はどんな対応か?このHom集合の射を1つ取り出しfとする。f(0)=1(単位元単位元に行く)。1がaに行くとnはa^nにいく。1+1+1はaxaxaに行くから。f(1)=aならf(n)=a^nとなる。つまりf(1)の行き先の元とfは1対1対応がある。

hask圏とは対象がデータ型で射が関数。

対象が1とIntegerとすると、射f:1->Integerのような関数は必ず定数関数になる。

 

Hom(X,A)にはAの構造を入れることができる。例えばHom(X,M), Mはモノイドならば、Hom(X,M)にモノイドの構造を入れられる。
Hom_sets(2,N)にはNの加法に基づく加法を入れられる。2={a,b}としてHom_sets(2,N)の2つの射f,gに対して、f(a)=m1,f(b)=m2,g(a)=n1,g(b)=n2ならば(f+g)(a)=m1+n1, (f+g)(b)=m2+n2となる。各点ごとの和で射の和を定義できる。

Hom_C(A,B)にBの構造を入れる、ということは函手圏として理解できる。ではHom_sets(2,N)の例は函手圏として説明できるはず。圏は以下の離散圏\(\mathcal{2}\)とモノイド\(\mathcal{N}\)。

$$
\begin{array}{c}
\mathcal{2}=\{A , B\}\\
\mathcal{N}=\xymatrix{
\circ \ar@(u,l)[ ]_{+1} \ar@(ul,dl)[ ]_{+2} \ar@(l,d)[ ]_{+3}  \ar@(dl,dr)[ ]_{+4} \ar@(d,r)[ ]_{+5} \ar@(dr,ur)[ ]_{+0=id_{\circ}}
}
\end{array}
$$
 

で、2つの圏\(\mathcal{2}\)と\(\mathcal{N}\)の間の函手F,G,Hの間の関係がどうなっているのかを、第1回のところで書いた函手圏の図に代入してみる。その際にF,G,HによるA,Bの行き先は\(\mathcal{N}\)のモノイドの対象である\(\circ\)に潰れてしまうこと、その結果F,G,Hも1つの対象に潰れてしまうことに注意すると

$$
\begin{array}{c}
\mathcal{C}=\mathcal{2}=\{A , B\}\\
\mathcal{D^C=N^2}=
\xymatrix{
 & \ar@{~>}[ddl]_{F} & & \ar@{~>}[dd]^{G=F} & & \ar@{~>}[ddr]^{H=F} & \\
 & \ar@{.>}[r]^{+1} & & & \ar@{.>}[r]^{+2} &  & \\
& & & & & &
} \\
\mathcal{D=N=}\\
\xymatrix{
(\circ =F(A)=F(B)) \ar[r]^{+1} & (\circ =G(A)=G(B)) \ar[r]^{+2} & (\circ =H(A)=H(B))
}
\end{array}
$$

となる。この時、圏\(\mathcal{D}\)の射、つまり圏\(\mathcal{N}\)の射(+0, +1, +2,,,など)は函手圏\(\mathcal{D^C}\)の中でただ一つの函手F=G=Hから自分への射として実現している。つまり函手圏\(\mathcal{N^2}\)は圏\(\mathcal{N}\)のモノイド構造が入っていることが分かる。またそれらの射は自然変換になっていることも明らかである。
$$
\begin{array}{c}
\mathcal{C=2}=\{A , B\}\\
\mathcal{D^C=N^2}=
\xymatrix{
 \ar@{~>}[ddd]^<<{F} \\
\ar@(u,l)[ ]_{+1} \ar@(ul,dl)[ ]_{+2} \ar@(l,d)[ ]_{+3}  \ar@(dl,dr)[ ]_{+4} \ar@(d,r)[ ]_{+5} \ar@(dr,ur)[ ]_{+0=id_{\circ}} \\
 \\
\\
} \\
\mathcal{D=N}=\xymatrix{
\circ \ar@(u,l)[ ]_{+1} \ar@(ul,dl)[ ]_{+2} \ar@(l,d)[ ]_{+3}  \ar@(dl,dr)[ ]_{+4} \ar@(d,r)[ ]_{+5} \ar@(dr,ur)[ ]_{+0=id_{\circ}}
}
\end{array}
$$
 

 

 

generalized element

Hom(X,A)の要素は射だが、Aの(何らかの形での)要素と見なすことができる。Hom(X,A)にはAの構造が反映されており、もはや射とは見ていない。

 

Hom函手

圏Cの対象Xを固定して、対象Aを集合Hom(X,A)に移す関数をHom(X,-):C→Setsと表す。またCの対象A,Bの間の射f:A→Bを、「左からfを合成する」という関数に移す。

$$Hom(X,-):A\rightarrow Hom(X,A)$$

$$f\circ - : Hom(X,A)\rightarrow Hom(X,B)$$

$$
\mathcal{C}=\xymatrix{
A \ar[r]^f & B
}
\xymatrix{
 \ar@{~>}[r]^{Hom_{C}(X,-)} & 
}
\xymatrix{
X \ar[dd] \ar@<0.5ex>[dd] \ar@<1ex>[dd] \ar@<-0.5ex>[dd] \ar@<-1ex>[dd] & X \ar[dd] \ar@<0.5ex>[dd] \ar@<1ex>[dd] \ar@<-0.5ex>[dd] \ar@<-1ex>[dd] \\
\ar@{}[r]^(.25){}="a"^(.75){}="b" \ar^{(f \circ)} "a";"b" & \\
A & B 
}
$$