今回はMaximaは使いません。計算がないからです。
楕円関数は複素平面上で定義された特定の定義を持つ関数です。いわゆる特殊関数の一つです。複素関数論を勉強すると様々な一般的な結果を学びますが、その一つにリュウビルの定理というものがあります。そして、楕円関数の議論をする際にとにかくよく使われるのです。
リュウビルの定理:Cを複素数全体の集合とする。Cで有界かつ正則な関数は定数関数に限る。
リュウビルの定理の応用として例えば次のような定理があります。
定理1:周期を表す基本平行四辺形で正則な楕円関数(2重周期関数)は定数関数である。
証明:f(x)が上記の条件を満たすとする。基本平行四辺形に対応する2辺を加えた平行四辺形は閉集合であり、この上で\( \left| f\left( x \right) \right| \)は最大値Mで抑えられる。f(x)は2重周期関数なので、C全域で\( \left| f\left( x \right) \right| \)は最大値Mで抑えられる。つまりf(x)はCで有界かつ正則な関数なので定数関数である。
定理2:定数関数でない楕円関数は極を持つ。
証明:f(x)が定数関数でない楕円関数とする。その周期を表す基本平行四辺形上で極を一つも持たないとすると、正則になる。これでは定数関数になってしまい矛盾する。
定理3:2つの楕円関数f, gの極が一致しそこでのローラン展開の主部が一致すれば、f-gは定数関数である。
証明:f-gも楕円関数となるが、ローラン展開の主部が打ち消しあうため、正則関数になってしまう。従って定理1から定数関数になる。
参考にしたのはおなじみのコブリッツの著書:
及び、森田健という方の「楕円関数論」というPDF、
http://fuchino.ddo.jp/yatsugatake/ellipticx.pdf
及び、中川 仁という方の「代数学演習 – 楕円関数論入門 –」というPDF
http://www.juen.ac.jp/math/nakagawa/ellfunc.pdf
でした。