プールで泳ぐパピヨン
ご無沙汰しておりました。
常日頃フォローしているブログに以下のようなツィートが紹介されていました。
「素数をnで表す式は発見されてない」みたいなの見る度に別にイライラはしないがnで表す式はいくらでも見つかっている。リーマン予想が解かれたわけではない。素数の分布の難しさを正確に表現するには舌足らずすぎる。 pic.twitter.com/h4TKeq5UYf
— 素数Tシャツ (@shinchan_prime) 2015, 6月 2
この式でどうしてn番目の素数がnで表されているのでしょうか。まず本当にちゃんと表されているのかMaximaで確認してみましょう。
(%i1) f(n):=2+sum(1-floor(sum(1+floor( (2-sum(floor(j/i)-floor( (j-1)/i),i,1,j))/j),j,2,k)/n),k,2,floor(2*n*log(n)+2))$
(%i2) f(n);
$$ \tag{%o2} \sum_{k=2}^{\left \lfloor 2\,n\,\log n \right \rfloor+2}{\left(1-\left \lfloor \frac{\sum_{j=2}^{k}{\left(\left \lfloor \frac{2-\sum_{i=1}^{j}{\left(\left \lfloor \frac{j}{i} \right \rfloor-\left \lfloor \frac{j-1}{i} \right \rfloor\right)}}{j} \right \rfloor+1\right)}}{n} \right \rfloor\right)}+2 $$
所望の式がf(n)としてうまく定義できました。nに3, 5, 31, 50など適当に代入してみます。
(%i3) f(3),nouns;
$$ \tag{%o3} 5 $$
(%i4) f(11),nouns;
$$ \tag{%o4} 31 $$
(%i5) f(50),nouns;
$$ \tag{%o5} 229 $$
お手元の素数表で確かにあっていることを確認してみてください。
この式の一番内側の総和の部分を取り出して、jの値を色々と変えてみます。その際に参考のためにjの約数も全て求めます。
(%i6) [sum(floor(j/i)-floor((j-1)/i),i,1,j),divisors(j)];
$$ \tag{%o6} \left[ \sum_{i=1}^{j}{\left(\left \lfloor \frac{j}{i} \right \rfloor-\left \lfloor \frac{j-1}{i} \right \rfloor\right)} , \mathrm{divisors}\left(j\right) \right] $$
(%i7) [sum(floor(j/i)-floor((j-1)/i),i,1,j),divisors(j)],j:11;
$$ \tag{%o7} \left[ 2 , \left \{1 , 11 \right \} \right] $$
(%i8) [sum(floor(j/i)-floor((j-1)/i),i,1,j),divisors(j)],j:12;
$$ \tag{%o8} \left[ 6 , \left \{1 , 2 , 3 , 4 , 6 , 12 \right \} \right] $$
(%i9) [sum(floor(j/i)-floor((j-1)/i),i,1,j),divisors(j)],j:13;
$$ \tag{%o9} \left[ 2 , \left \{1 , 13 \right \} \right] $$
(%i10) [sum(floor(j/i)-floor((j-1)/i),i,1,j),divisors(j)],j:14;
$$ \tag{%o10} \left[ 4 , \left \{1 , 2 , 7 , 14 \right \} \right] $$
このように、jを固定してこの一番内側の総和を求めるとそれはjの約数の個数になっていることがわかります。うまくできていますね。
ここから先も同じように計算してみれば何を計算しているのか、簡単に確認できると思います。ぜひやってみてください。
ちなみこの式で本当に難しいのは一番外側の総和の上限が \( \left \lfloor 2\,n\,\log n \right \rfloor+2 \) となるところなのだそうです。