Maxima で綴る数学の旅

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- ゼータ関数の非自明零点と行列の固有値(その3)物語

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お友達

 

エルミートランダム行列の固有値の間隔分布とゼータ関数の非自明零点の間隔分布、あまりに出自の異なる2つの概念が、グラフに書くと完全に一致している、、、。ということはちょうどゼータの非自明零点を固有値とするエルミート行列、すなわち作用素があるのでしょうか。その作用素にはどんな物理的な意味があるのでしょうか。

 

そもそもこんなこと誰が考え、今、この方面の研究がどうなっているのでしょうか。

 

1910年から1920年ごろ、高名な二人の数学者ヒルベルトとポリヤは独立に、「ゼータ関数の非自明零点はなんらかの作用素固有値と見なせる」という予想を持ちました(発表はされなかったようです)。

 

1971年、ランダム行列(特にガウスユニタリアンサンブルと呼ばれるモデル)を研究していた物理学者のフリーマン・ダイソンゼータ関数の零点を研究していたヒューモンゴメリが、プリンストン高等研究所のお茶の席でお互いの研究の話をしました。その会話からダイソンは、「ガウスユニタリアンサンブルの固有値の対相関関数は、ゼータの非自明零点の対相関関数と同じである」ことに気がついたそうです。

 

1973年、ヒュー・モンゴメリの講演を聞いたアンドリュー・オドリツコはスーパーコンピュータを用いた数値計算でダイソンとモンゴメリの予想が確からしいことを確認しました。それが今回行った(その1)、(その2)に相当します。

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1994年にルドニックとサルナックはゼータの非自明零点のn元相関関係とランダム行列の固有値の間隔の間の関係を表す定理を証明し、発表しました。この式には対相関の式がはっきりと見て取れます。

 

1996年に、キーティングとスネイスは、ランダム行列の特性方程式の根(=特性方程式の零点)とゼータの零点が対応するのであれば、ゼータ自身はなんらかの作用素の特性多項式に対応する、と考え始めました。

 

1998年、コンリーはクリティカルライン上のゼータ関数の値の2k乗平均の値に関係するある係数がk=4の場合24024であることを予想しました。キーティングとスネイスはユニタリランダム行列の特性多項式の値の2k乗平均に登場するある係数を求め、k=4の場合24024であることを導きました。これはゼータ自身と作用素の特性多項式の対応を示しています。

 

これ以降、ゼータ関数の値の平均値の理論とランダム行列の特性多項式の値の関係などが熱心に調べられているそうです。

 

1994年以降の話は、

 

素数からゼータへ、そしてカオスへ

素数からゼータへ、そしてカオスへ

 

の第15章を参考にしました。

ダイソンとモンゴメリの不思議な出会いや、ポリヤからオドリツコに宛てた手紙など1973年以前の話については、

が詳しいです。