Maxima で綴る数学の旅

紙と鉛筆の代わりに、数式処理システムMaxima / Macsyma を使って、数学を楽しみましょう

-Android- いつでも・どこでも・スマホで数学!

なんと!!Maxima on Androidを題材にした本が出版されました!

いつでも・どこでも・スマホで数学! Maxima on Android活用マニュアル

いつでも・どこでも・スマホで数学! Maxima on Android活用マニュアル

 

一関高専で数学を教えておられた梅野先生という方が執筆された本です。高専や高校の学生から大学生、また数式処理を使ってみたい技術者などが読者の対象でしょう。

 

Chapter 1ではMaxima on Androidのインストール、キーボードの設定などを説明し、Maxima on Androidを実用的に使う設定の解説があります。またMaxima on Androidの基本的な使い方の解説があります。例えばセッションの保存やマニュアルを読む方法などが書かれています。そしてMaximaの基本的な使い方が説明されます。

 

その後で、Maxima自身の機能の説明がされています。Chapter 2では数と数式の計算、Chapter 3では様々な方程式を解く方法、Chapter 4では三角関数や指数、対数などの組み込み関数の説明及び様々なグラフの描き方、Chapter 5では微分積分、数列、Chapter 6ではベクトルと行列などなど。

 

本書の特徴は目次を見るとわかるのですが、上記のそれぞれの分野について、やりたいことが目次に載っており、そのやり方(Maximaのコマンド)が本文に記載されています。普通にやりたいことに加えて、少し進んだ話題も記載されています。例えばChapter 2では「有理式を通分するには」「有理式を部分分数展開するには」、Chapter 4では「陰関数のグラフを描画するには」「媒介変数表示された関数のグラフを描画するには」、Chapter 6では「行列を階段行列に変形するには」。

 

私は結構長くMaximaを使っているのですが、本書で初めて知った機能もありました。Chapter 2の「式を実数の範囲で因数分解するには」という項目に興味を持ち、本文を読んだところ、factor()を2引数で使う方法が載っています。factor(式1, 式2)という形で、式2の解となる代数的数を有理数体Qに加えた拡大体で式1を因数分解できるのです。素晴らしい!

 

本書は持ち運びに便利な小さなサイズの薄手の本として編集されています。通勤・通学電車の中で本書を読み、気になったコマンドを実際にMaxima on Androidで試して見る、といった使い方も十分にできそうです。自分でもやってみようと思います。