前回の記事では超幾何関数を使って様々な初等関数を表すことができました。今回は楕円積分が超幾何関数である、ということを説明します。
楕円積分にはいくつかの種類があり、今回扱うのは第1種完全楕円積分と呼ばれるもので、以下の式で表されます。
$$ \int_{0}^{\frac{\pi}{2}}{\frac{1}{\sqrt{1-k^2\,\sin ^2\vartheta}}\;d\vartheta} $$
この定積分は振り子の周期を厳密に求める際に登場します。その詳細については「振り子の周期 楕円積分」でGoogle検索して調べてみて下さい。
この記事ではこの定積分を\(k\)の関数として考え、\(K(k)\)と書くことにします。すなわち、
$$ K(k)=\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}{\frac{1}{\sqrt{1-k^2\,\sin ^2\vartheta}}\;d\vartheta} $$
この第1種完全楕円積分が超幾何関数である、とは具体的には次の式が成り立つことを指します。
$$\int_{0}^{\frac{\pi}{2}}{\frac{1}{\sqrt{1-k^2\,\sin ^2\vartheta}}\;d\vartheta}=\frac{\pi\,F\left( \left. \begin{array}{c}\frac{1}{2},\;\frac{1}{2}\\1\end{array} \right |,k^2\right)}{2}$$
この式の証明をMaximaで追ってみました。