Maxima で綴る数学の旅

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-数学- p進数入門 p進距離と級数の収束の続き

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 

前回の記事で、等比級数の無限和の公式が、比が素数の場合にもp進距離に基づく収束で成り立つことが数値計算で実感できました。では証明はどのようにすれば良いのでしょうか。

証明したい事柄は%o1の式がNを大きくしたときの極限が0になることです。

(%i1) 'padic_distance(sum(p^k,k,0,N),1/(1-p),p);
$$ \tag{%o1} \mathrm{\%padic\underline{\quad}distance}\left(\sum_{k=0}^{N}{p^{k}} , \frac{1}{1-p} , p\right) $$
(%i2) load(simplify_sum)$

第一引数に指定した等比級数のN項和を計算します。
(%i3) F1:sum(p^k,k,0,N);
$$ \tag{%o3} \sum_{k=0}^{N}{p^{k}} $$
(%i4) F2:simplify_sum(F1);
$$ \tag{%o4} \frac{p^{N+1}-1}{p-1} $$

第2引数に指定した値との差分を計算します。
(%i5) F2-1/(1-p);
$$ \tag{%o5} \frac{p^{N+1}-1}{p-1}-\frac{1}{1-p} $$
(%i6) %,ratsimp;
$$ \tag{%o6} \frac{p^{N+1}}{p-1} $$

式%o6のp進絶対値を求めます。p-1がpと互いに素であることから、この式のp進附値はN+1です。したがってp進絶対値は\(\frac{1}{p^{N+1}}\)となります。この式のNを大きくすれば値は0に収束しますね。