Maxima で綴る数学の旅

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2026-01-01から1年間の記事一覧

攻撃者が暗号文から完全秘匿でない暗号を破る方法

本記事の内容は安永憲司著『暗号理論入門』(森北出版)第2章に基づいています。 前回の記事 では完全模倣性を紹介しました。完全秘匿な暗号では、攻撃者Aは暗号文cを受け取って一生懸命計算しても、暗号文を知らないシミュレータSに完全に真似されてしまい…

攻撃者の視点からの完全秘匿性 (2) 完全模倣性

攻撃者の視点を導入すると今までとは少し毛色の変わった形で完全秘匿性と同値な命題を定式化することができます。それは模倣性(simulatability)という考えです。 攻撃者Aは暗号文を見て何かを出力する確率的アルゴリズムだとします。その動作は出力の確率分…

攻撃者の視点からの完全秘匿性 (1) 完全識別不可能性

今まで議論してきたシャノンの完全秘匿性や識別不可性に基づく完全秘匿性では、「確率が変わらないのだから新たな情報は得られていない」とか「確率分布が変わらないのだから新たな情報は得られていない」ということを数式で定式化して同値性を証明してきま…