この3次関数のグラフをもう少し研究してみます。
\( x \geq -\frac{5}{2} \) の時、関数 \( y=x^3 - 6\,x \) の最小値はいくつでしょうか。同様に\( x \geq -3 \) の時、最小値はどうなるでしょうか。前者を論理式で表すと、
$$ \forall x,\, x \geq -\frac{5}{2} \implies x^3 - 6\,x \geq m $$
mには量限定子はついていません(このような変数を自由変数と呼びます)。ですがmとして具体的な値を決めれば、この式の真偽を決めることができます。ではmをどんな値に決めるとこの式が成り立つのでしょうか。(1)にQ.E.を適用すると次のような式が得られます。
$$ m\leq -4\,\sqrt{2} $$
確かに量限定子のついていた \( x \)は消去されて、mだけの式になっています。そしてこの(2)から分かることは \( m \leq -4\,\sqrt{2} \)ならば(1)が成り立つ、ということです。逆にmがこの範囲外ならば(1)は成り立ちません。つまり(1)と(2)は同値なのです。そしてこの範囲で関数 \( y=x^3 - 6\,x \) の最小値mは \( m = -4\,\sqrt{2} \) です。
$$ \forall x,\, x \geq -3 \implies x^3 - 6\,x \geq m $$
これにQ.E.を適用すると、
$$ m \leq -9 $$
を得ます。つまりこの範囲で最小値は-9です。