それでは前回の予想の証明の流れを示してみます。今回はMaximaを使って計算をする、ということはありません。LaTeXよりも簡単に数式がかける道具として使っています。
一つのポイントは以下の因数分解です。この因数分解は円分多項式と関係しているのですが、それはさておき。
(%i1) n^5-1=factor(n^5-1);
$$ \tag{%o1} n^5-1=\left(n-1\right)\,\left(n^4+n^3+n^2+n+1\right) $$
pを素数として、
(%i2) p#5;
$$ \tag{%o2} p\neq 5 $$
を仮定します。
次の式のnに色々な自然数を代入して、計算した結果を素因数分解すると、pが素因数の一つだったとします。
(%i3) n^4+n^3+n^2+n+1;
$$ \tag{%o3} n^4+n^3+n^2+n+1 $$
つまり次の式に解があることになります。
(%i4) mod(x^4+x^3+x^2+x+1,p)=0;
$$ \tag{%o4} \left(x^4+x^3+x^2+x+1\right) \rm{mod} p=0 $$
その解をaとすると元の式に代入して、次の式が成り立ちます。
(%i5) a1:mod(a^4+a^3+a^2+a+1,p)=0;
$$ \tag{%o5} \left(a^4+a^3+a^2+a+1\right) \rm{mod} p=0 $$
ここで冒頭の因数分解を使うと、このaについて次の式が成り立つことが分かります。
(%i6) mod(a^5-1,p)=0;
$$ \tag{%o6} \left(a^5-1\right) \rm{mod} p=0 $$
これはmod pでaを5乗すると1になる、ということです。このようなaの位数は5の約数ですから5あるいは1です。数式で書けば、
(%i7) '(mod(a^5,p)=1 or mod(a^1,p)=1);
$$ \tag{%o7} \left(a^5\right) \rm{mod} p=1\vee a \rm{mod} p=1 $$
もし位数が1とすればa=1となりますから、それを(%o5)に代入すると、
(%i8) a1,a=1;
$$ \tag{%o8} 5 \rm{mod} p=0 $$
となり、\( p \neq 5 \) と矛盾します。従ってaの位数は5です。
ここでフェルマーの小定理を使うと、
(%i9) mod(totient(p),5)=0;
$$ \tag{%o9} \varphi\left(p\right) \rm{mod} 5=0 $$
が成り立ちます。つまりpの既約剰余類の元の個数は5で割り切れるはずです。pは素数なので既約剰余類の元の個数はp-1個です。従って次の式が分かります。
(%i10) mod(p-1,5)=0;
$$ \tag{%o10} \left(p-1\right) \rm{mod} 5=0 $$
つまりpは5で割ると1余る数です。仮定とあわせると、
(%i11) '(p=5 or mod(p-1,5)=0);
$$ \tag{%o11} p=5\vee \left(p-1\right) \rm{mod} 5=0 $$
pは5であるか、5で割ると1余る数です。後者の場合は必ず下一桁が1あるいは6です。しかしpが奇数であることを考慮すると、pの下一桁は必ず1です。