数学
ラマヌジャンの\(\frac{1}{\pi}\)公式に関する論文や記事を読んでいるとしばしば以下の公式に出会います。 $$_{2}F_1\left(\frac12,\frac12;1;x\right)^2= {}_3F_2\left(\frac12,\frac12,\frac12;1,1;4\,x\,(1-x)\right)$$ 大抵クローゼンの公式の特殊な場合…
上記2つの記事で超幾何関数に関するクローゼンの公式を証明しました。それはこんな式でした。 $$_{2}F_1\left(a,b;a+b+\frac12;x\right)^2= {}_3F_2\left(2\,a,2\,b,a+b;2\,a+2\,b,a+b+\frac12;x\right)$$ しかし、ラマヌジャンの\(\frac{1}{\pi}\)に関する…
ではガウス超幾何関数と一般超幾何関数の間の公式 $$_{2}F_1\left(a,b;a+b+\frac12;x\right)^2= {}_3F_2\left(2\,a,2\,b,a+b;2\,a+2\,b,a+b+\frac12;x\right)$$ の証明の主要な部分を行いました。方針としては左辺も右辺も同じ3階の微分方程式を満たすこと…
トーマスクローゼンは1828年に雑誌クレレに発表した論文で、ガウス超幾何関数\({}_2F_1(a,b;c;x)\)の2乗が一般超幾何関数\({}_3F_2(a,b,c;d,e;x)\)と等しくなるための条件を求めました。その結果次の式が成り立つことを証明しました。 $$_{2}F_1\left(a,b;a…
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超幾何関数は特定の微分方程式(超幾何微分方程式と呼ばれています)を満たすことが知られています。今回はパラメータを3つ持つガウスの超幾何関数\(_{2}F_{1}(a,b;c;x)=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{(a)_n\,(b)_n}{(c)_n}\,\frac{z^n}{n!}\)が超幾何微分方程…
今回は一体「超幾何関数とテータ関数の恒等式」シリーズは何だったのかという説明です。昨年11月ごろに超幾何関数の勉強の記事を数本書いた後、楕円積分と超幾何関数の関係の記事を書きました。その後、流れでこのシリーズを始めました。本来動機や背景を最…
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今回もこの本の第5章がテキストです。 Number Theory in the Spirit of Ramanujan (Student Mathematical Library) 作者:Berndt, Bruce C. Amer Mathematical Society Amazon Lemma 5.2.6の5.2.6の証明を見て行きます。超幾何関数とテータ関数の4乗の間に成…
前回の記事では大変美しい式: $$ F\left(1-\frac{\varphi\left(-q\right)^4}{\varphi\left(q\right)^4}\right)=q $$ を証明しました。 \(q\)に適当な数値を入れて左辺を計算すると結果としてその\(q\)が出力されるということです。テータ関数と超幾何関数が…
今回もこの本より、 Number Theory in the Spirit of Ramanujan (Student Mathematical Library) 作者:Berndt, Bruce C. Amer Mathematical Society Amazon 第5章の定理5.2.5の証明を読んでいきます。 今回は、Lemma 5.1.10, Corollary 5.2.4, テータ関数の…
Number Theory in the Spirit of Ramanujan (Student Mathematical Library) 作者:Berndt, Bruce C. Amer Mathematical Society Amazon 今回は本書第5章のLemma 5.2.4の証明を見て行くことにします。 本に載っている証明は必要最低限の式変形が提示されてい…
明けましておめでとうございます。今年もMaximaを使った数学の記事を書いていきますので、よろしくお願いします。 早速ですがいつもの参考図書の第5章 Lemma 5.2.3とその証明を見ていきます。 Number Theory in the Spirit of Ramanujan (Student Mathematic…
いつもの本 Number Theory in the Spirit of Ramanujan (Student Mathematical Library) 作者:Berndt, Bruce C. Amer Mathematical Society Amazon のChapter 5, Lemma 5.2.2を読んでいきます。 Lemma 5.2.2 \(x\)を、\(0 \lt x \lt 1\)の時に次の式を満たす…
この本の第5章のLemma 5.2.1まで証明を見て来ました。ここまではほぼ超幾何関数の議論だけで済んだのですが、ここから先はラマヌジャンのテータ関数の知識が必要になります。 そのための必要最小限の定義とこの先に必要な等式をここで述べておきます。証明は…
今回も下記の本の第5章からCorollary 5.2.1の証明を見ていきます。 Number Theory in the Spirit of Ramanujan (Student Mathematical Library) 作者:Berndt, Bruce C. Amer Mathematical Society Amazon window.addEventListener('message', function(e) { …
Number Theory in the Spirit of Ramanujan (Student Mathematical Library) 作者:Berndt, Bruce C. Amer Mathematical Society Amazon この本のChapter 5よりLemma 5.1.10が今回のお題です。 Lemma 5.1.10. \(x\rightarrow 0^{+}\)の時、 $$\pi\,F(\frac{1}…
この本のChapter 5からCorollary 5.1.7を見てみます。 Number Theory in the Spirit of Ramanujan (Student Mathematical Library) 作者:Berndt, Bruce C. Amer Mathematical Society Amazon window.addEventListener('message', function(e) { var iframe =…
超幾何関数とテータ関数の関係式: $$\varphi^2(q)=F(\frac{1}{2},\frac{1}{2};1,x)$$ というものを理解したく、色々と調べていると実は買って積んであった手元の本に証明が載っていることを発見しました。 Number Theory in the Spirit of Ramanujan (Stude…
前回の記事では超幾何関数を使って様々な初等関数を表すことができました。今回は楕円積分が超幾何関数である、ということを説明します。 楕円積分にはいくつかの種類があり、今回扱うのは第1種完全楕円積分と呼ばれるもので、以下の式で表されます。 $$ \i…
Maximaには一般超幾何関数がhypergeometric([a1,...,ap],[b1,...,bq],z)という関数として実装されています。このシリーズの最初の記事でも書いたように、これらの引数に特定の値や式を代入することで、多くの初等関数、特殊関数を表すことができます。 Maxim…
超幾何関数が積分表示できることの証明の後半です。 前回は積分を変形することでポッホハマー記号\((b)_n\)が出てくるところまでご紹介しました。今回はその続きです。ベータ関数の積分による定義は適当な本をご参照ください。Wikipediaにも載っています。 w…
超幾何関数にはオイラー の積分表示があります。今回はこの積分表示の証明を途中まで掲載します。 window.addEventListener('message', function(e) { var iframe = document.getElementById("tako"); var eventName = e.data[0]; var data = e.data[1]; swi…
ここ最近超幾何関数の勉強を少しずつしています。切っ掛けは、 数理科学 2020年 08 月号 [雑誌] サイエンス社 Amazon こちらの号に掲載されていた平田典子氏の記事: ラマヌジャンと円周率近似公式 に触発されてです。ラマヌジャンが\(\frac{1}{\pi}\)を求め…
2021年4月〜6月のクールで放送されたTBS日曜劇場「ドラゴン桜」というドラマ で、東大受験に挑戦する高校生達が描かれ、その中でいくつか数学問題も登場したそうです。それらがYoutubeやブログなどでも取り上げられて、目にする機会がありました。下記のyout…
タクシー数の定義は、2つの正の3乗数の和として表す方法が2通りある最小の整数、であり、具体的には1729でした。また、前回の記事: では2つの正の3乗数の和で表す方法が3通りある最小の整数が87539319であることも、母関数の展開を行うことで証明しま…
パピヨンの仔犬!! ちょっと調べ物をしていたらokwaveという調べ物サイトに面白い記事がありました。 okwave.jp タクシー数:2つの正の3乗数(立方数ともいう)の和として2通りに表すことが出来る最小の整数。具体的には1729。 ラマヌジャンのタクシー数と…
今回の話はアルゴリズムは単純で、\(S_n\)の可移部分群を全部求めて、1つづつガロア群かどうかテストしているだけです。当然\(n=6\)でも動作するはずです。 というわけでやってみました。GAPでこの群を求めるのは高速ですが、\(S_6\)の場合、数が279個に増…
今回はプログラム編です。いきなりSympyで実装した、可移部分群を使った実装をお見せします。 TransitiveGroups5とかTransitiveGroup4という変数に、大量のPermutationGroupのインスタンスのリストが設定されています。これらはそれぞれ、全て\(S_5\), \(S_4…